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東京には戻りたくない。ここにはなんのいいことも無いから。
そう思いつつも、私は再びここに戻ってきた、この狭い部屋に戻ってきた。
この身体には、常に二つのアイデンティティが混ざっている。
一つは台湾人である私、今まで育ってきた環境によるアイデンティティ。
もう一つは、ここにいる二年間に染まってきた習慣。
もう慣れてきたのかな?そういえるだろうのかな?
エスカレータの左側に立っている。携帯は常に手放さない。
穴のある5円玉と50円玉、静か過ぎる電車、無表情の人たち。
聞き飽きた敬語も。
だけど、やはり私はここの人間ではない。
私はここにいるという現実が確かにあるとしても、この世界は私のことを認めてくれない。
それにしても、私は頑張らざるを得ない。
自分が選んだ道だから、どんなに辛くても、頑張るしかない。
一生懸命勉強して、そしてレポートを書く。
活発なキャラーを演じている。何の問題も無いようなフリをしている。
そして、君のことを忘れるように頑張っている。
無駄な努力をしている私は、今、ここにいる。
できれば、君を忘れることなんかはしたくない。君ともう一度再会したい。
ムリだって知っているにもかかわらず。
もう一つの現実があればいいのにな。
だけど、そこには、君がいるのだろうか。
もしくは、君は最初から私の世界に存在しなかったんだろうか。
もしそうであれば、私が握っている君に関するすべては、一体何なんだろうか。
現実逃避といっても、私は、そもそもこの現実には存在しないだろうか。
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