「故郷を離れることは、心苦しいんだよ」と、亡くなったおじいちゃんが語っていた、窓の向こう側にある故郷に似ている山と川を眺めながら。

どれほど苦しいのかは、恐らく当事者しか分からないだろう。
その中に、語られない重み、苦しみがある。

さっきおじさんが電話をかけてきて、おじいちゃんの最後の言葉を教えてくれた。
「ワシは日本に住んでいても、台湾人として生まれたから、死んだとしても台湾人の魂だ」と。
そして、おじさんがそう語りながら泣いていた。
電話から聞こえたおじさんの鳴き声は、本当に悲しかった。
普通はお酒を飲んだり、乱暴な言い方をしたりするおじさんが泣くなんて、その心の苦しみが伝ってくる気がした。

おじいちゃん、本当に台湾に帰りたいよね。

この前、妹と一緒に作った故郷の写真集を、喜んで読んでくださったのね。
写真集を読んでいたおじいちゃんは、どんな気持ちだったんだろう?
もう70年ぐらい離れていても、故郷の景色や記憶はまったく色褪せていないだろう。
その家は建て直されたから、70年前の模様とはだいぶ違ったけど、
やはり故郷のことは懐かしい。
だから、もう一度その土を踏みたい、その家に入りたい、その景色に抱き締められたい。
そして、今度こそもう離れない。ずっと故郷にいたい。

おじいちゃん、今度はちゃんとみんなで台湾に連れて行きますから。
そして、日本より暖かい故郷でじっくりと眠ってください。
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